名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2064号・昭25年(う)2065号 判決
而して爾余の各書面に就て按ずるに、原審公判調書を通看するも、之に就ては原審が証拠調を留保したまゝ遂に何等の決定を為さずして結審したのであるが凡そ証拠調を経ない証拠資料が裁判所に提出せられ且つ記録に編綴せられると謂うことが新刑事訴訟法の精神に照し許すべからざることであつて此事自体は正に訴訟手続の違背に該当する。しかし原審第五回公判調書の記載に依ると、右書面の作成者たる西国信夫、中島三郞は何れも証人として原審公廷に於て供述して居り右供述の内容と前記書面の内容とが一致し、特に該書面の記載が原審裁判官の心証を被告人に不利益ならしめたものとに認められないから原審が該書面を記録に編綴した手続の違背は未だ以て判決に影響を及ぼしたものと謂うことはできない。
(註 本件は量刑不当により一部破棄自判)